轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页

青空文庫

そして武具をつけ始めたが、鉄の胸当を執りあげると、スーラーブは、暫らく躊躇した。いっそのこと、頸飾を胸当の外に出して懸て置いたらよくはあるまいかという考えが、頭に閃いたのであった。然し結局もとどおり、それは肌衣の下にしまったまま、胸当をつけた。母にとっても自分にとっても、その頸飾一つが父への形に現れた絆であった。余り冒険的な機会に曝してはという考えで制せられた。

仕度を調えて出て見ると、陣中に、昨朝とはまた違う一種の生気が漲っていた。兵等は、彼を認めると、勢のよい、砕けた丁寧さで声をかけ挨拶した。彼等の眼付や素振には、スーラーブの胸に暖さと愁いとを同時に感じさせるものがあった。単純な心で、自分等の統帥者が強いと、頼むに足りることを知った者共は、彼を迎えると、自分等の間から選出した格闘士でも仰ぐように、あらわな贔屓(ひいき)、称賞を示す。スーラーブは、複雑な感情で、軍列を整理した。そして昨日とほぼ同時刻に、ツランの陣を離れて、空地の中央に騎り出した。

イラン勢の中からも、灰色ずくめの戦士が立ち顕れた。どういう訳か、今日は徒歩立ちで、鉾の代りに太刀を佩(は)いている。