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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页
「実は、王から命を受けて来たのだが――ツランのアフラシャブが、また手出しをしおったのだ」
二十四
ルスタムは、微かにいやな顔をした。それを聴けば彼には何のためにギーウがよこされたのか充分推察がついた。要求されることは判っている。それに対する自分の返答も既に定まっている。彼は、ギーウに対する礼儀だけから、気のない調子で、
「ふむ」と云った。
「さすがに今度はアフラシャブも自身出かける気はなかったと見え、何処か属領の若ぞうを煽てて向けてよこした。フィズルが城を渡して注進に来た。急なことで彼も驚いただろう」
「いつのことだ?」
「注進がツスに着いたのは、儂の出発する半日前であった」
「それで何か、どんどん追撃でもして来るというのか?」
「懲りているから、軽はずみはしないらしい。じっと国境近くの陣を守っているそうだ。主将は変な、イラン風とツラン風俗の混った装をしているそうだが、アフラシャブの幕僚だったらしい男が二人以上ついているという話だ。――名誉はその男等のもの、不名誉と失敗の咎は、何処かの愚なその若者に背負わせようというのだろう。ところで――云わずともう解っただろうが、王は卿の出動を切望しておられるのだ」