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こだいこくごのおんいんについて
古代国語の音韻に就いて 他二篇
橋本 進吉
橋本進吉『古代国語の音韻に就いて 他二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:古代国語の音韻に就いて、国語音韻の変遷、駒のいななき。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,329 字 · 188 页
には、大抵一致して「夜」の字になっておりますから、その点から見ても「夜」とある方がよいということが断定できる訳であります。それから「奈我奈家婆」、これは『万葉集』第十五巻の最後の歌(三七八五番)にあるのですが、「ながなけば」は、お前が鳴けばという意味の言葉であります。この「家」は、他の本には「気」となっています。「家」はケの甲類に「気」は乙類に属するのでありますが、「鳴く」は四段活用で「なけば」は已然でありますから、その「け」には乙類の「気」を使った方が正しいときめることが出来ます。そういう風に、古典の本文を校定する場合に、どちらが正しいかということを判断する標準になるのであります。
それから古典の文を解釈する場合にもやはり役に立ちます。『万葉集』に「朝爾食爾」という語と「日爾異爾」という語があります。よく似ているからこの「あさにけに」の「けに」を「日に異に」の「異に」と同じ意味に解釈しているものもありますが、「食」と「異」はケの乙類と甲類とにわかれていて、決して同じではありませぬ。勿論、音も違っていたことと思われます。さすればこれは別の言葉であって、「朝にけに」