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こだいこくごのおんいんについて

古代国語の音韻に就いて 他二篇

橋本 進吉

橋本進吉『古代国語の音韻に就いて 他二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:古代国語の音韻に就いて、国語音韻の変遷、駒のいななき。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,329 字 · 188 页

青空文庫

三 第二期の音韻

奈良朝においても、その結果だけが襲用されたもので多分に形式化したものであったろう。そうして同じ語でもこの例に従わぬ場合も多少見えるのは、このきまりが、奈良朝において既に守られなくなり始めていたことを示すものであろう。

次に、複合する下の語の語頭音が母音一つから成る音(アイウエオ)である時、その音が上の語の語尾音と合して一音となることがある(荒磯―ありそ、尾の上―をのへ、我が家―わぎへ、漕ぎ出で―こぎで)。これは、語頭の母音と語尾音の終の母音と二つの母音が並んであらわれる場合にその内の一つが脱落したので、古代語において母音がつづいてあらわれるのを避ける傾向があったことを示すものである。「にあり」「てあり」「といふ」が、「なり」「たり」「とふ」となるのも同様の現象である。「我は思ふ」「我はや餓ぬ」など連語においても、これと同種の現象がある。かようなことは当時は比較的自由に行われたらしい。

三 第二期の音韻

平安朝の初から、室町時代(安士桃山時代をも含ませて)の終にいたる約八百年の間である。この間の音韻の状態を明らかにすべき根本資料としては、平安朝初期には万葉仮名で書かれたものがかなりあるが、各時代を通じては主として平仮名で書かれたものであって、この期の諸音韻は、大抵は平仮名・片仮名で代表させることが出来る。