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こだいこくごのおんいんについて

古代国語の音韻に就いて 他二篇

橋本 進吉

橋本進吉『古代国語の音韻に就いて 他二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:古代国語の音韻に就いて、国語音韻の変遷、駒のいななき。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,329 字 · 188 页

青空文庫

四 第三期の音韻

かような現象は、漢語にのみ見られたのであるが、後には、助詞「は」および「を」がン音または入声のtで終る語に接する場合にも起ることとなって、その場合には「は」「を」は「ナ」「ノ」「タ」「ト」と発音することが一般に行われたようである。(「門は」「門を」は「モンナ」「モンノ」となり、「実は」「実を」は「ジッタ」「ジット」となった)

四 第三期の音韻

第三期は江戸初期から今日に至る三百三四十年間である。その下限なる現代語の音韻は現に我々が用いているもので、直接にこれを観察して知ることが出来る。過去のものは、仮名で書かれた文献が主要なる資料であるが、そのほかに朝鮮人が諺文で写したものもあり、西洋人の日本語学書や日本人の西洋語学書などには羅馬字で日本語を写したものがある。また、仮名遣や音曲関係書や、韻学書などにも有力な資料がある。

第二期の下限である室町末期の音韻を現代語の音韻と比較して、第三期の中にいかなる変遷があったかを知ることが出来るわけであるが、現代の標準語は東京語式のものであるに対して、第一期第二期を通じて変遷の跡をたどり得べきものは大和あるいは京都の言語を中心とした中央語であって、その後身たる現代の言語は、東京語ではなく京都語ないし近畿の方言であるから、これと比較して変遷を考えなければならない。