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こだいこくごのおんいんについて

古代国語の音韻に就いて 他二篇

橋本 進吉

橋本進吉『古代国語の音韻に就いて 他二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:古代国語の音韻に就いて、国語音韻の変遷、駒のいななき。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,329 字 · 188 页

青空文庫

とヤ行の「エ」の区別に当るのであります。龍麿はこのエにあたる二類を、ア行の「エ」とヤ行の「エ」とであるということは言っておりませぬけれども、実例の上からして、エが二類に分れて用法上区別があるということを見出しているのであります。そうして年代から言いますと、『古言衣延弁』よりは龍麿の方が先であります。私は話の順序として『古言衣延弁』のことを前に述べましたが、実はあの方が少し後なので、発表された年月からいうとおよそ三十年も龍麿の方が前であります。得た結果から見れば『衣延弁』の方が一層進歩しておりますけれども、事実を明らかにした点においては、龍麿が既に先鞭を着けているわけであります。

さて、今の普通の仮名で書き分けることの出来ない十三の仮名がおのおの二類に分れているということは、奈良朝のものについて見ますと、前に述べたように多少例外があるのであります。その中で「ケ」の仮名については、私のこれまで見た奈良朝時代のすべての文献の中で、疑わしい例はただ二つだけしかないのであります。それは「介」という字で書いてあるもので、「け」に当る万葉仮名は「計」の類と「気」