轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こてんふう

古典風

太宰 治

「知性」1940(昭和15)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,400 字 · 21 页

青空文庫

純白のドレスを好んで着した。

アグリパイナには乳房が無い、と宮廷に集う伊達男たちが囁き合った。美女ではなかった。けれどもその高慢にして悧※、たとえば五月の青葉の如く、花無き清純のそそたる姿態は、当時のみやび男の一、二のものに、かえって狂おしい迄の魅力を与えた。

アグリパイナは、おのれの仕合せに気がつかないくらいに仕合せであった。兄は、一点非なき賢王として、カイザアたる孤高の宿命に聡くも殉ぜむとする凄烈の覚悟を有し、せめて、わがひとりの妹、アグリパイナにこそ、まこと人らしき自由を得させたいものと、無言の庇護を怠らなかった。

アグリパイナの男性侮辱は、きわめて自然に行われ、しかも、歴史的なる見事さにまで達した。時の唇薄き群臣どもは、この事実を以て、アグリパイナの類まれなる才女たる証左となし、いよいよ、やんやの喝采を惜しまなかった。

アグリパイナの不幸は、アグリパイナの身体の成熟と共にはじまった。彼女の男性嘲笑は、その結婚に依り、完膚無きまでに返報せられた。婚礼の祝宴の夜、アグリパイナは、その新郎の荒飲の果の思いつきに依り、新郎手飼の数匹の老猿をけしかけられ、饗筵につらなれる好色の酔客たちを狂喜させた。