轻松读懂日语经典作品
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こてんふう
古典風
「知性」1940(昭和15)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,400 字 · 21 页
」美濃は寝たままで思いきり大袈裟に背伸びした。
「いいえ、」女は上半身を起し、髪を掻きあげて、「奥様は、ご立派なお方です。あたし、親兄弟の蔭口きくかた、いやです。」
美濃はのそりと起き、ベッドの上にあぐらをかいた。ひそかに苦笑している。
「君は、いくつだね?」
「十九歳になります。」素直にそう答えて、顔を伏せた。うれしそうであった。
「もうお帰り。」美濃は、下婢のとしなど尋ねた自分を下品だと思った。
女は、マットに片手をついて横坐りのまま、じっとしていた。
「誰にも言いやしない。いいから、早く出て行って呉れないか。」
女の子には、何よりもナイフが欲しかった。光る手裏剣が欲しかった。流石に、下さい。とは言い得なかった。汗でぐしょぐしょになるほど握りしめていた掌中のナイフを、力一ぱいマットに投げ捨て、脱兎の如く部屋から飛び出た。
B
尾上てるは、含羞むような笑顔と、しなやかな四肢とを持った気性のつよい娘であった。浅草の或る町の三味線職の長女として生れた。かなりの店であったが、てるが十三の時、父は大酒のために指がふるえて仕事がうまく出来なくなり、職人をたのんでも思うようにゆかず、ほとんど店は崩壊したのである。