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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
在线阅读柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 页
花の雨鯛に塩するゆふべかな 仙化
これだけのことである。到来の鯛でもあるか、それに塩をふって置く。こういう事実と、花の雨との間にどういう繁りがあるかといえば、こまかに説明することは困難だけれども、そこに或微妙なものが動いている。その微妙なものを感ずるか、感ぜぬかで、この句に対する興味は岐れるのである。
花の雨ということに拘泥して、花見の料に用意した鯛が、雨のためにむだになったのを、夕方になってから塩をふるという風に解すると、誰にもわかりやすいかも知れぬが、それでは一句が索然たるものになってしまう。この句の眼目は、鯛に塩をふるということと、花の雨との調和にあるのだから、どうして鯛に塩をふらなければならなくなったか、という径路や順序について、そう研究したり闡明したりする必要はない。そんなことが何処が面白いかというような人は、むしろ最初からこの句に対する味覚を欠いているのである。この作者が都会俳人であることは、贅するまでもあるまい。
灸居てみる山近しはつ桜 吾仲
「灸居て」は「スエテ」である。灸をすえながら山を見るというのか、灸をすえてから山を見るというのか、その辺は俳句の叙法の常で判然しないが、とにかくしかして見た山の端に初桜を認めた、という句意らしく思われる。