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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

在线阅读柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 页

青空文庫

月並な歌よみなら「月を見がてら」とか何とかいうところとも解せられる。

客の性質や客との関係は、そう僉議を加えるほどのこともない。この句の興味は、名月の夜に当って客を迎えに行くということ、その迎える道がいつか里離れたところまで来ていた、ということにある。月に浮れたというほどでないにしても、軽い気分の下に歩いていることは想像出来る。

午の貝おくる木玉や三井の秋    探志

何かの合図に貝を吹くということは、現代のわれわれには殆ど没交渉である。法螺貝を手に取ったことはあっても、未だかつて吹いたことはない。山伏にも因縁がないから、貝の音に耳を驚かされた記憶も持合せておらぬのである。

この句の貝は時刻を報ずるものらしく思われる。食事の合図かどうかわからぬが、午になって貝を吹き鳴らす。その音が遠く谺して聞えて来る。場所が三井寺だけに、秋天の下にひろがる大湖を背景にして、谺も遠きに及ぶのであろう。

三井の秋は日本画の題材になりそうな舞台である。しかし湖を画き、雲を画き、寺を画き得ても、そこに「午の貝おくる木玉」を添えることは、丹青の技のよくするところであるまい。