轻松读懂日语经典作品
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ねむのきのかげ
合歓木の蔭
山本 周五郎
「新読物」交友社 、1948(昭和23)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,740 字 · 27 页
四月の中旬を過ぎて、七たびめの夜のことであった。男はいつものように綿々とささやき続けたのち、自制のちからの尽きたような調子で、このまま耐え切れなくなったと訴えた。
「それ以上なにもおっしゃいますな」奈尾はおびえたように身震いをした、「さもなければわたくしいってしまいます」
「あなたは私に死ねと云うのですか、私に悶え死にをさせたいのですか」
「あなたは出来ないことをお求めなさいますわ、わたくしもうなにも伺いません、そんなことをおっしゃるのでしたらもうここへもまいることはできません」
「待ってください。ああいかないで――」
しかし奈尾は足早に去っていった。
からたちの生垣の外で、男はじっと耳を澄ませていた。けれども遠く去った足音が、そのまま戻って来ないのをたしかめると、舌打ちをしながら生垣を離れた。嘲けるように、もういちど舌打ちをして振り返った、するとすぐ眼の前に人が立っていた。月の光が、上からその人間の姿を照らしている、男は「あっ」と低く叫んだ、立っているのは岩田半三郎であった。男はうめいた、じりじりと後ろへ退ったが、身をひねったとみると、絶叫しながら抜討ちに半三郎へ斬りつけた。