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あいえんきえん

合縁奇縁

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,349 字 · 23 页

青空文庫

第一回の失敗

第一回の失敗

「瑞竜、お前は養子に行く気はないか? 相手にもよりけりだろうが、随明寺なら申分あるまい?」

と兄貴がニコ/\して切り出した。さては来たなと僕は思った。随明寺の総領娘錦子さんはナカ/\綺麗な子だった。此方が又、自慢ではないが、秀才の誉れ高かった。その辺は寺町といって、お寺ばかり十何軒並んでいるから、皆お互に見知り越しだった。中学生と女学生だから親しい面晤はなかったが、僕は途上でチョッカイをかけたことがある。

「もし/\。ハンカチが落ちましたよ」

学校の帰りに擦れ違った時、注意してやった。錦子さんは振り返ったが、嘘と分って、

「まあ! 不良さんね、イヽン」

と言って、行ってしまった。以来僕を見かけると、空嘯くようにして通って行く。

さて、その錦子さんのところへ婿養子に貰われて行く問題だ。

「今日東光寺さんが見えて、お互に身許が分っているから丁度好い縁談だと思うが、何んなものだろうと言う」

兄貴は僕の無条件承諾を期待しているように浴びせかけた。

「随明寺へ行けば、矢っ張りお寺を継ぐんでしょう?」

「それは当り前だ。その為めの養子だから」

「僕、坊主は厭です」