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あいえんきえん
合縁奇縁
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,349 字 · 23 页
学資を出したいにも、ない袖は振られない。家からは絶対に上級学校へ行けないと思ってくれなければ困る」
「はあ」
僕は大分心が動いた。兎に角帝大へ行けるということは大きな光明だった。それから錦子さんと夫婦になれると思うと、無暗に嬉しかった。坊主だって、そんなに厭なものでない。第一、暇だ。それでいて、就職難ということが絶対にない。一切食役の保証がついている。兄貴の生活を見るに、酒も飲むし、歌も唄うし、トンカツも食うし、夫婦揃って活動も見に行く。俗人と些っとも異るところがない。僕は坊さんの好いところを列挙して、兄貴二人がやっているんだから、矢張りやろうかと考えた。
その翌日だったか翌々日だったか、学校の帰りに偶然錦子さんと擦れ違った。錦子さんはいつものように空嘯かず、真赤になって立ち止まって、丁寧にお辞儀をして行った。僕はその刹那に決心を固めた。
「よし、随明寺へ婿養子に行って、名僧智識になってやろう」と。
帰って早速兄貴に喜んで貰おうと思ったら、お客さんが来ていた。檀家で一番金持の松本さんだった。僕も挨拶に出て坐り込んだ。
「瑞竜さんは学校の成績が飛び切り好いんですってね。