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あいえんきえん

合縁奇縁

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,349 字 · 23 页

青空文庫

錦子さん/\だ。その人と毎日手紙の交換をしているのらしい」

「一日一信だと書いてあった。当てられるよ」

「君は一種の恋敵ってものかな?」

「そうじゃないよ。此方は断ったんだから」

「何しろ手放しだ。錦子さんとの仲は、天にあらば比翼の鳥、地にあらば連理の枝。それは好いが嘘字が沢山書いてあった」

「こゝの悪い男かい?」

と尾崎君が自分の頭を指で叩きながら乗り出した。尾崎君は偶随明寺の檀家だった。

「悪いって程でもないが、慌てものだ。試験の時に手を挙げて『先生、カンニングをしても宜うございますか?』と訊いたくらいのものだから」

「馬鹿だな」

「ナイフを借りるのを合図に教えるという申合せさ。それで、ナイフを借りてと訊くのをカンニングと言ってしまったんだ」

「ハッハヽヽ」

「告白したようなものさ。先生は憤ったよ。余り馬鹿にすると思って」

「カンニングをやるのかい?」

「いや、案外正直だ。カンニングをやる積りで準備をして来るけれど、度胸がないらしい。しかしそのお蔭でいつも中軸の成績だったよ」

「何のお蔭で?」

「カンニング・ペーパーを拵えるお蔭で、結構覚えてしまうんだ」

「僕はいつも思うんだが、カンニング・ペーパーに書き込む面倒を勉強に向けたら、充分準備が出来るだろうにね」