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よしおかよしかねさまへ
吉岡芳兼様へ
織田 作之助
「大阪文学」1943(昭和18)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,545 字 · 4 页
の表現です。この「赤」は佐伯の頭に喀血の色と見えるのです。
冒頭の一節、「古雑布」「古綿を千切る」「古障子」などの形容は勿論あなたのおっしゃるように視覚的ではありません。しかし、視覚的というのは絵と映画に任せて置きましょう。僕らは漬物のような色をした太陽を描いてもよいわけではありませんか。
友田恭助を出したのが巧を奏したとおっしゃいますが、あそこは僕としては一番気になるところです。失敗ではなかったかと思っています。但し、理髪店から「友田……」の声がきこえて来るところ、あそこがこの小説の眼目です。この友田は「聴雨」の坂田と同じ重要性をもっているのです。友田も坂田も青春なき「私」のある時代に映じたある青春の象像です。それで理髪店の「友田……」という声がきこえて来るわけです。しかし、あそこの真実感がないとおっしゃる。作者の技術の不足と思っています。
どうも自作をさりげなく当り前な顔をして語るのはむつかしいです。作品が自ら語ってくれるとやに下っている方が無難でしょう。作中の「私」一つの問題でも、たとえ「聴雨」の続篇を「若草」の十月号に書きましたが、この中に「私」