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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页
を尊奉し、毛利侯よりも「尊攘の大義を確守し……」の廉を以て賞賜を受けたり。
のち郡奉行となり、昔橘良基が五国守となりし時、その処身の秘訣を述べて「百術は一清に如かず」といえるをとりて、職に在る間「不如一清」の四字を刻したる印を用い、清廉を以て自からも期し、人にも許されたり。藩主より賞賜あれば部内の堤防に用い、貧民の肥料培養等の用に供し、種々仁政の蹟あり。前原一誠の乱、その門人にして前原に与せし者多し、自からまた官嫌を被る。玉木慚憤禁ずる能わず、屠腹して死せり。
玉木とその姪松陰の関係の深厚なるは、左の一詩を見るも知るべし。
明治辛未の三歳、吾が姪義卿身を致せしを距ること、已に十三年なり。その間風雲しばしば変わり、毎に中懐に愴然たること無き能わず。十月某日は乃ちその忌辰なり。祭りてこれに告げていう。
玉木正
為すべからざるにおいてすら猶おかつ為す、丈夫の本領自からかくの如し。名を正し分を明らかにし心曾ち信あり、夏を尊び夷を攘うの義豈に疑がわんや。世事紛紜として慨嘆を長うす、人情浮薄にして日に推移す。知るやいなや十有三年の後、頑鈍依然として独り癡を守るを。