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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页
その重なる利は、その地方自治制と、国家的社会制にあり。請う、少しくその利を説かしめよ。国の本は民にありとは、封建社会において、一般に通用する格言なりき。封建政治は尚武を経とし、重農を緯としたり。封建君主の典型たる上杉鷹山公嘗てその相続者にげて曰く、
一、国家は先祖より子孫へ伝え候国家にして、我私すべき物にはこれなく候。
一、人民は国家に属したる人民にして、我私すべき物にはこれなく候。
一、国家人民のために立てたる君にて、君のために立てたる国家人民にはこれなく候。
右三条御遺念有るまじく候事。
これ儒教的政論の粋を抽んでたるもの、尋常一様の封建政治の理想、必らずしもかくの如く精明なる大主義徹底したるにあらずといえども、その民情を尋酌し、民を養うを以て、政治の大本としたるは、蓋し争うべからざるものあり。封土の分割は、自然に地方自治の傾向を生じ、世襲の制は、果木を伐りて薪となし、牝鵞を殺して肉を食むの現金政治を去りて、憮恤恵養、民富みて君主富むの政治となる。かつ封土の小にして政治機関の行き届くと、その世襲的制度よりして百年の大計に着眼するとは、勢い一方においては節倹、勤勉の風を奨励し、他方においては拓山、墾海、物産を蕃殖せしめ、有無を相通ぜしめ、水道、溝渠、貯蓄等の民政を振作し、延いて鰥寡孤独を愛恤する等の自から現時