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よしだしょういん

吉田松陰

徳富 蘇峰

「国民之友」1892(明治25)年5月~9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页

青空文庫

派の高僧、熱信篤行の君子ザウィエールの手によりて、洗礼を受けたるもの、上は国持、城持の大名より、下は庶民に到るまで幾何なるを知らず。南蛮寺の壮観は、京都に聳え、交市場の繁昌は、堺浦をして天下の富の中心点たらしめんとす。

泰西の築城術に傚うて、天主閣を建るものあり。その工芸、医薬を応用するものあり。甚しきは自から基督教的名号を名乗り、その印章には羅馬字を用ゆるものあり。女子すら泰西の文字を学びこれに通ずる細川忠興夫人明智氏の如きあり。その物質上精神上如何に偉大なる影響を及ぼしたるかは、夢想だも及ばざらん。

彼来る、我もまた往かざるを得ず。修交、通商、航海は、期せずして各大名の手によりて、重なる商估の手によりて行われ、天文二十年には、我が邦人にして、葡萄牙国に到り客死したるものあり。天正年間においては、西海の諸侯大友、大村、有馬の徒、使を羅馬に遣わし、三年にして達し、八年にして帰るを得たり。蒲生氏郷の如きも、羅馬に使聘を通じたる前後四回に及べり。もしそれ日本人の呂宋に住するもの三千人に過ぎたりという、また以て如何に我が同胞が海外に膨脹しつつあるかを知るに足らん。