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どうほう

同胞

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,713 字 · 32 页

青空文庫

そして六時半頃、恒夫と茂夫とが病室に呼ばれた時、祖母はもう意識を失っていた。痰のからまる急な呼吸に時々喘いで、その後はすーっと細長く息を引きながら、昏々と眠り続けていた。

二人はまた病室から出て、庭へ降りていった。ぼーっとした明るみを含んでいる空に、星が一つ見え初めていた。なま温い空気の中に、新緑の香が漂っていた。

「お父さんが死んだのも、こんな晩だったかも知れないよ。」と恒夫は云った。

茂夫は何んとも答えなかったが、不意に恒夫の手を握りしめた。

「君が云ったように、僕達にはまだ他に兄弟があるかも知れないね。」

「後でお祖母さんに聞いてみようか。」

「だってお祖母さんはもう……。」

そして二人は何んとなくぞっとして、首を縮こめた。