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どうほう

同胞

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,713 字 · 32 页

青空文庫

「せめて今日だけでも、あの子を来させるとよかったんですがね。……私がいくら云っても、お祖父さんが頑固なことばかり仰言るのでね……。」

「え、お祖父さんが……。」

「それもね、理屈から云えば尤もなんですよ。たとえ血統はどうだろうと、立派に他家の子供となってるうえは、それをわざわざ呼び寄せて、昔のことをほじり出すのは、よくないことだ、両方の気持を悪くさせるだけだ、とそう仰言るので……。それにしたって、もう十三年も、十五六年も前のことですから、別に差障りはなかろうと、私としては思ったのですけれど……そしてあなたにしたって、一人っきりよりは、表立って兄弟を持った方が、いくら心強いか知れないのに……それをお祖父さんは、得手勝手な考えだと仰言って、どうしても聞き入れて下さらないんですよ。」

恒夫は起き上って、祖母の方へ向き直った。

「それ何のことですか、お祖母さん。」

祖母は眼をしぱしぱさした。

「あなたはまだ何にも知らないんですか。」

「何を……。」

「お母さんから何とも話がありませんでしたか。」

恒夫は何とも答えないで、祖母の顔を見守った。見ているうちに、少し分りかけてきた。