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といにこたえて
問に答えて
宮本 百合子
「文芸通信」1934(昭和9)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,571 字 · 9 页
この三四年の間、小説を書かないのは何故であるか。そういう問いが記者によって出された。
私の今の状態から云えば、この問いの中で書かないと云われているところは既に書かなかったという、文法の上では過去の形でされる方がふさわしいし、又全く小説を書かなかったというわけでもないが、質問そのものは面白く思った。
或る作家が、書く、書かないという現象をそれぞれについて見ると、一口で片づけきらぬ内容がある。盛に書くが、作家としての真の発展という視点に立って見るとそれは衰退への道を辿っている場合もあり、雑誌の上に目立つ作品は書かぬが、生活的にはその期間に却ってその作家にとって大切な成長がされているという場合もある。私は、自分の場合は、後の部に属す性質をもったものであったと考えている。
私が、旧作家同盟に参加した頃、或る種の人達は、片岡鉄兵がしたと同じように私も早速ブルジョア・インテリゲンツィア作家として持っていた文学上の腕をそのまま活用して、いろいろな作品を書いて行くことと予想したらしく考えられる。そのとおりに実際は進まず、二年も三年も私が小説らしい小説を書かなかった結果、当時の周囲の事情との関係もあり、反動的な見方で私についてのこの現象を説明する人があった。