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ラマのゆくえ
喇嘛の行衛
国枝 史郎
「秘密探偵雑誌」1923(大正12)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,238 字 · 21 页
「それほど事情を知っている君が、しかも此僕の味方だというに、何の理由でこんな所まで僕を追跡して来たのであるか、どうも僕には解からない」
「私の観察が当たっているか、夫れとも的が外れていたか、それをたしかめるのでございます」
「それでは僕は君の為に何をして上げたらよいのかね!」
「一二お尋ね致したいことが残って居るのでございますが、それにお答えを願われれば大変光栄でございます」
「よろしい、それに答えよう」気高く青年は斯う云った。
「宮中を脱出遊ばす時、一人お味方がございましたでしょう!」
「いかにも味方は一人有った。しかし其名は明かされない」
「いえ、よく私は存じて居ります。美しいお方でございます。琅玉と申すあの女官……」
すると青年は頷いて其顔を少しく赭らめた。ホートンはずんずん質問する。
「美しい女官は陛下の為に――と申すより恋人のために陛下が宮中から脱け出された後の門や扉に鍵をかって心安く陛下が落ちられるように取り計らったように存ぜられますが、是は如何でございましょう!」
「君は天晴の探偵だ。君の慧眼には狂いがない」
ホートンは低く頭を下げた。それから復も問うのであった。