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よんじゅうはちにんめ

四十八人目

森田 草平

「改造」1929(昭和4)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 页

青空文庫

と、小平太は慌てて押留めた。ひょんなことを言いだしたばかりに、とんだことになってしまったとは思ったが、どうにもしかたがない。とにかく、ここは兄の言葉に従ったふりをして、この場を納めるほかないと思ったので、

「なるほど分りました」と、下を向いたまま言いだした。「一時の血気に速って、兄上の御迷惑になるとも知らず、一味に加担しましたのは、重々私の心得違いでした。では、お言葉に従って、大石殿始め同志の方々には相すみませぬが、誓約を破って脱退することにいたしましょう」

「しかとその気か」

「何しに虚偽を申しましょう? 私とてもしいて命を捨てとうはござりませぬ。その代りには、兄上、大石殿始め一党のことはどうぞ御内分にしてくださりませ」

「うむ、お前がそう心を改めた上は、わしも好んであの方々の邪魔をしようとは思わぬ。御一統の企てについては、ほかから漏れたら知らぬこと、わしからは金輪際口外すまい。それだけは固く約束しておくよ」

「どうかそのようにお願いいたします」

「しかし、お前としても今の言葉はどこまでも守ってくれねばならぬぞ」と、新左衛門はあらためて念を押すように言った。