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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
「改造」1929(昭和4)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 页
そうすれば、俺もいよいよ後へは退かれなくなる道理だ! ただこんなことを太夫に申入れるには、誰か人をもってするのが本当かもしれないが、差当ってそれを打明けるのに恰好な相手も同志の中には見当らない。なに、かまうものか、場合が場合だ、面押拭って自分で申しあげることにしよう。そう決心するとともに、彼はその日の昼過ぎから、ちょっと石町まで伺候してくると同宿の二人に断って、ぶらりと表へ出た。
急ぎ足に小山屋の隠宅まで来てみると、頭領大石は今国元へ送る書面を認めていられるというので、すぐには面会ができなかった。同じ宿に泊っている潮田又之丞、近松勘六、菅谷半之丞、早水藤左衛門なぞという連中は、一室置いた次の間に集まって、上の間に気を兼ねながらも、何やらおもしろそうに談話をしていた。時にはわれを忘れて大きな声も出した。小平太はその中に加わったようなものの、ほかの連中は皆百五十石、二百石取りの上士ばかりで、三村次郎左衛門を除いては、元の身分が違うから、何となく話しもそぐわないような気がして、黙って隅の方に控えていた。同志は「もっとこちらへ出られよ」と勧めてくれたが、遠慮してそばへ寄らなかった。