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こくじはんのゆくえ

国事犯の行方

国枝 史郎

―破獄の志士赤井景韶―

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,341 字 · 13 页

青空文庫

越後国高田の産れで天誅党なる秘密結社を結び、要路の大官を暗殺しようとしたのを、密偵長谷川三郎の為めに主意書の断片を発見されたことから、計画中に捕縛され九年の懲役を課せられていた。

二人とも青年血気である。河野氏に懇々訓されたぐらいでは折角の思い付を止める筈がない。其夜彼等は脱獄し海上三里を泳ぎ渡り羽田から陸へ上がったが其儘何処へ行ったものか杳として知ることが出来なかった。

さて彼等は何処へ行ったものであろう。

×

麹町八重洲町一丁目。元松平三河守屋敷。此処に当時の警視庁があった。

脱獄のあった其翌朝、一人の百姓が駆け込んで来て、千住五丁目六道の辻、字反野の畑の中に人が殺されていると告げて来た。

警視二局の主任警部、武東警部を真先に石田、大井の二刑事は取る物も取らず駈け付けて見ると、四十歳前後車夫体の男が頭蓋骨を砕かれて死んでいた。襦袢一枚の裸体である。一見他殺に相違なかった。

「重い物で頭を撲られたらしい。……その辺に凶器が落ちていないかな。……先ず鉄棒という所だが」武東警部は斯う云って部下の刑事を見廻わした。石田大井の二刑事は直ぐに敏活に動き出したが、