轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とち
土地
豊島 与志雄
「青年」1924(大正13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,719 字 · 22 页
空には雲雀の声が聞え、樹梢には蝉が鳴き立った。凡てが清く輝かしかった。木も草もその一つ一つの葉末に、水滴が美しく光っていた。
その時、村を出て街道をやってくる平助の姿が見えた。驟雨に洗い出された道路の砂利の上を、少し腰を曲げ加減にゆっくり歩いてきた。
彼は荒地の中にはいって行き、開墾されてる地面の側に佇んだ。尻端折った着物の下から覗いてる両脛が、妙にひょろひょろと細く、肩のあたりが頑丈に角張っていた。やがて彼は其処に下駄をぬぎ捨てて、開墾地の中に踏み込んだ。柔い黒い土地の上には、雨に叩かれて飛び出てる小石が幾つもあった。彼はそれを一々拾い上げては、草木の根の小高い塚の方へ投げやった。土をふるい落されて幾日も日に輝らされたその草木は、堆く積まれたまま枯れかかっていた。
平助はふと物に慴えたように立上って、あたりをぐるりと見廻した。湿った大地に強い日の光が照りつけていて、水蒸気が静に立昇っていた。田にも畑にも街道にも、人影一つ見えなかった。村落の森はひっそりと静まり返っていた。
平助は暫くぼんやり立っていたが、また腰を屈めて小石を拾い初めた。そして大凡見えるだけの小石が無くなると、ぬぎ捨てておいた下駄を片手にさげ、片手を前帯の間につっ込みながら、真直に村の方へ帰っていった。