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トソンラン

土城廊

金 史良

「文芸首都」1940(昭和15)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,752 字 · 52 页

青空文庫

爺が喉笛を上げて歌うのだ。その後から婦や男達の笑い声がどっとふるえ出たりする。

中伏節だと云うので、爺は三四人を集めて祝酒をふるまっているのだった。いつも隣り近所に気前のいい所を見せようとしていたのがやっと、今日実現された訳なのである。爺は雨に濡れながら近所の土幕主を招待に出掛けて行った。

「うふふ、わしんとこ来てくれねえかな、う、酒もあるでな、全く何ちゅう酷え雨だかよ」

例の吃男は踞坐して何か奇妙な呪文をぶつぶつ唱えているばかり、返事もくれぬのだ。爺が吃男の土幕の中を覗いたのはそれが始めてだった。薄暗い所に石油箱の祭壇がおかれ、その上に清水の器をおいていた。彼は今尚、上帝教の信者だった。こうして上帝の霊に触れ、今に地上天国が建設されればその時こそ自分には厚授あるものと信じている。

「お前さん、何してるだよ」

「叫※(「口+多」、第3水準1-15-2)叫※(「口+多」、第3水準1-15-2)太乙天上元君……」吃男は依然として奇妙な呪言を止めなかった。

元三は不承不承今度は先達の夫婦を誘いに行った。先達ははっと色を変えた。中伏節がどうのと酒まで買って来たのだが、それも自分の婦を悦ばせるために……と思うと、朱潮が耳元から燃え始めた。