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ちじょう

地上

島田 清次郎

地に潜むもの

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页

青空文庫

を結ぼうと努めた。深井は平一郎にも言わず返事も出さなかった。手紙は露骨に脅迫的になって来た。深井は平一郎に打ち明けた。平一郎は原田に手紙を送った。運動場を過ぎて理科実験室の横手の古い池のある青桐の木の下であった。彼は「君は僕と深井との間柄を知っているか」と言った。原田はこの三つも年下の平一郎を見下すように「知らない」と言った。

「嘘つけ、君の手紙には大河君に言ってくれると承知しないなどと書いてあったじゃないか」

「何の手紙のことか己は知らない」

「嘘つけ! そんな気象で君達、稚児さんを捜したって碌な奴が従うものか」

「大きにお世話だ――一体今、何の用で己を呼んだのだ」

「深井のことについてさ。深井と己は兄弟の約束をしているのだ、よく言って置くからね。だから君がそれを知っている深井にあんな手紙をやるなら己も仕方があるし、知らないでやっているなら止めてくれたまえな」

「――己は知らなかったさ。しかし、よくないぞ」

「何がよくないというのだ。兄弟の契といっても君達のような契とは違うんだ。君達は卑しいことよりほか分るまいが」

「覚えていろ!」

「覚えているとも!」

そして、次の朝、平一郎が運動場のクローバの茂った片隅に深井と話しあっているところへ五年の一群が押しよせて来て擲りかかった。