轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちじょう
地上
島田 清次郎
地に潜むもの
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页
みんなには「深井は」だけが分ったのでみんなはどっと笑った。もう彼にはみなの哄笑は何でもなかった。
「僕の親友の深井は将来芸術家になると言っています。僕も随分なりたいけれど、僕は文学者や芸術家や思想家になって後代の影響をまつよりも――僕はせっかちですから政治家になって、真理であると信ずることを直接にこの世に実現したいと思います。この頃新聞を見ますと、内閣総理大臣は……」
「大河さん! 政治問題にふれてはいけません――もういい、もういい」
平一郎は校長が微笑みつつ制しているのを見た。もっと言いたいことが泉のように込みあげて来たが、彼は椅子に腰を下した。皆が彼を振り返って見た。
「経済学者になったらどうです」校長が穏やかに言った。
「――でも、それじゃ、不安心です」
「――」
校長は黙した。そして、その日の質問はそれで止めて、「第十八章、節倹の必要」という章を展げさせた。校長の微笑はもう見えなかった。それは霽れた青空の一片が曇れる雲の間からちらと覗かれたようなものであった。すぐに年来の生活と習慣の雲が蔽い隠してしまった。彼はもの憂そうに一人の生徒に読まして読本の講義のように字句の講義を続けて行った。