轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちじょう

地上

島田 清次郎

地に潜むもの

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页

青空文庫

瀬村が写真帳をもって来てギリシャ・ローマ時代の彫刻やロダンやミケルアンジェロの彫像について語り、また、文芸復興期の偉大な芸術家について語るのを聞くことは彼の生涯にとって四年間の中学の授業よりも深刻な印象を与えたのであった。平一郎には永井の苦しんでいる恋愛の心理ははっきり分らなかった。けれど苦しさの程度は自分の苦しみに反照して推察出来ないでもなかった。純な人ずれのしない青年の永井が世間から見れば破廉恥な罪悪である不良青年のような恋をしていることに、そこに不自然な感じがまるでないことは、彼も分った。むしろ彼とは幼な馴染みであるという愛子が自分の亡き父に多少の金を貸していた人間のものとなることがどれほど不自然な事実と感じられたか知れない。このように恋するのが自然であるべき永井と愛子にしても不正な社会的制約の下においては苦しまねばならない二人であり、どうしてよいか分らないで曠野にとり残されたような悲しみと寂寥を感じる二人であった。

「僕達はこのように多くの人間の間に生息しながら、曠野へ追放された罪人みたいなものです。僕にはこれが正しいこととは思えない」と言って永井が涙ぐむのをグループの人達は黙って見ているより仕方なかった。