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ちじょう

地上

島田 清次郎

地に潜むもの

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页

青空文庫

堪らないことであった。

「大河君、僕も苦しい」と深井は言った。

苦しい熱病人のように夢中で試験をすましたその夜、平一郎は尾沢の家を訪ねる気になった。彼の精神に消化し切らない食物のように和歌子のこと、深井のこと、自分のことが未解決のままで渦巻いていた。

二階では尾沢と高等学校の学生の宮岡が熱烈に話し込んでいた。

「しかしホイットマンが、我が祭歌を浮かべるは歓喜をもってだ、汝に歓喜をもってだ、死よ、と歌っているように、死はたしかに安らかに永遠の安息だと考えられますよ」

「宮岡君、もう止めてくれたまえ!」尾沢は眼をとじて堪らなさそうに宮岡の熱した言葉を止めさせた。宮岡は情熱をさえぎられて、眼鏡越しに尾沢をじろり睨みつけた。

「どうかしましたか」

「己には性に会わないようだから、止してくれたまえ! ホイットマンはそういう風な死の思想を抱いている人とは思われないが――いや有難う。もう止してくれたまえ――」

「どう君と合わないのです。昨日も友人と彼の『草の葉』を学校で読んで思わない発見に歓び合っていたのです、どう君に合わないのです」

「ホイットマンが詩人であるからだ。死と生とを別物のように考えているからだ。