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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

司令が、本当のことをしったら、ピート一等兵は、どんな重い懲罰をくうかしれない。大嵐の前の静けさとは、まさにこのことだ。いくら、これまでいじめてきた部下ではあったが、彼のうえに、これから下るであろう懲罰をかんがえると、全くかわいそうでならなかった。

そのとき、司令がさけんだ。

「勇士ピート一等兵。五歩前へ」

ピート一等兵は、えらそうな顔をしてのこのこ前へ出ていった。

パイ軍曹は、心臓がいたくなった。

「ピートのやつ、どこまで、ばかな奴だろう。いよいよ大嵐のはじまりだぞ」

すると司令は、

「勇士ピート一等兵。二機撃墜のときの状況をのべよ。まず聞くが、お前が、撃墜した日本機はいかなる機種のものであったか」

「え、日本機?……」

ピート一等兵は、ようやく気がついた。

(あっ、しまった。こいつはとんだことを喋ってしまったぞ。撃墜といったのだから、とうとう敵味方の区別をわすれて、喋ってしまった)

さあ、こまった。

「順序をたてないでよろしい。はなしやすいように、はなせ」

「うわーッ」

ピート一等兵は、へどもど……。

しかし、ピート一等兵は運がつよかった、というのであろう。