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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

「けとばすわけがあったから、やったまでだ。そんなことについて、貴様のさしずはうけない」

「さしずをしているのではありません。黄いろい幽霊を、かえしてくださいと申しているのです」

「わしが、そんなことを知るものか。囚人の番をするのは、貴様ら衛兵の仕事じゃないか」

「ああ、それはひどい。軍曹どのが、囚人を自由にしておきながら……」

「なにを云う。上官に対して無礼者め」

といったかと思うとパイ軍曹は、らんぼうにも、衛兵のあごに、鉄拳をガーンとうちこんだ。衛兵は、悲鳴をあげて、その場にたおれてしまった。

そのころ、氷上ではリント少将の姿をもとめ、ますますさわぎが大きくなった。

「どこにも、おられないじゃないか」

「ふしぎなこともあるものだな」

「おや、もう一つ紛失したものがあるぞ。ここにあった」

「何がなくなった?」

「地底戦車が、どこかへいってしまった」

「地底戦車? そんなばかなことが……」といいながらそこを見ると、なるほど地底戦車がない。

「一体、これはどうしたんだ」

「うむ、これは、容易ならぬ事件だ」

三つの紛失事件

リント少将が行方不明となる。

囚人の沖島速夫が、いつの間にかどこかへにげだしてしまった。