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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

沖島は、のん気に、そんなことを、思い出していた。

地底戦車は、ごっとん、ごっとんと、ゆるやかに、氷の中を縫っていった。

その氷の上では、幕僚以下が、いよいよ青くなって大捜索をしているのであった。だが、さっぱり手がかりがない。そうでもあろう。地底戦車がはいりこむときにあけた氷上の穴は一時水がたまっているがさむさのために、たちまち凍りついてしまって、穴は元どおりにふさがってしまったから、どこから地底戦車が入りこんだのか、ちっとも見たところでは、分らないのであった。

地底戦車の中では、沖島速夫が、地図をにらんで、しきりに、しるしをつけていたが、

「さあ、いよいよ氷上に出ますから、御安心ください」

と、少将の方へあいさつをした。それとともに、地底戦車は、先がぐっとあがり、ぎりぎりと、斜めにのぼり始めた。

「もうすぐです。ちょっと、御覧に入れたいところへ出ますから、そのおつもりで」

一体、沖島は、地底戦車を、どこへ顔を出させるつもりであろうか。

大和雪原

地底戦車は、大きくゆれると、水平にもどって、それから間もなく、エンジンが、停ったのであった。沖島は、操縦席をはなれて、出入口の扉に近よった。