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ちていせんしゃのかいじん
地底戦車の怪人
海野 十三
「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页
「ふん、お前と話をしていると、わしは、コーヒーでもわかしてのみたくなるよ」
そういうパイ軍曹も、あわてている方ではなかった。
沈没迫る
アーク号の甲板は、刻々に傾斜を増していく。もうこの船は、あと五分と、もたないで、海面下に姿を没してしまうであろうと思われた。そのうえ、意地わるく、大吹雪は、いよいよ猛烈にふきつのって、甲板を、右往左往する人々の呼吸を止めんばかり――。
「おい、ボートはもう一ぱいだ。おれたちは、はいれやしない。ど、どうなるんだろうか」
「うん、仕方がない。艫の方へいって、さがしてみろ。わりこめる席があるかもしれない」
「だめだだめだ。舳の方をさがせ。艫の方はボートごと、ひっくりかえって、たいへんなさわぎだ」
人々は、なんとかして、ボートの中に、空いた場所をみつけて、一命を助かりたいものだと、まるで喧嘩のようなさわぎであった。
パイ軍曹は、唇のうえに鉛筆で引いたようなほそい口髭をひねりながら、大兵のピート一等兵を見上げ、
「おい、ピート。ボートはもう駄目らしい。お前は、あの冷い南氷洋で競泳する覚悟ができているかね」
「わしは、競泳には、自信がねえです。