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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

おお、お前たちも乗れ」

「えっ、三番船艙に、戦車があるんですか」

「そうだ。お、お前たちの、お眼にかかったことのない恰好をした新型の、せ、戦車だ。さあ、は、早く、わしをつれていけ」

「隊長どのは、その戦車に乗られて、どうなさるのでありますか」

「わ、わが輩は、せ、折角ここまで持ってきた戦車に、生前、一度は、の、乗ってみたいのだ。そ、その地底戦車というやつに……」

「地底戦車?」

「そ、そうだ。地底戦車だ。リント少将は、そ、その地底戦車をつかって、南極の地底をさぐる――さぐる計画を、たてられているのだ。は、早くしろ。船が、もう、沈む」

「は、はい!」

パイ軍曹と、ピート一等兵とは、顔を見合せた。二人の顔は、今までのいずれの場合よりも真剣になっていた。死を覚悟して、死の前に、他の何物への執着もすて去った二人であったが、いまこうして、中尉の紫色になった唇の間から、無名突撃隊の秘密についてのべられてみると、彼等二人は、本来の任務に奮い立たないでは、いられなくなった。

「おい、ピート、急ぎ、進め!」

「合点です。お一チ、二イ」

「三ン、四イ」

二人は、中尉を両方から抱きあげつつ、もはや歩行するのも容易でない傾斜甲板のうえを、器用にとんとんと走って、階段口から、下におりていった。