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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

すると、正しく深度は零なのである!

(深度が零というと、この戦車の下に、水がないということであるが――それでいいのかな)

達夫が、ふしぎそうに、深度計を見ているものだから、パイ軍曹もピート一等兵も、そばへよってきて、ともに深度計のうえをながめるのであった。そして、やはりふしぎだという顔をした。

「どうだね、パイ軍曹にピート一等兵。この深度零と出ているのを、どう考えるか」

と、速夫はきいた。

「さあ……」

「計器に水が入ったかナ」

二人の答は、はなはだ、なっていない。

「分らないなら、いってやろう。この地底戦車は、地上に出ているんだ」

と、速夫は、ずばりといった。

「えっ。地上に出ておりますか、あの、この戦車が……」

ピート一等兵が、眼を丸くした。

「ばかばかしい、深海の底におちこんでいたものが、いつの間にか地上にあがっているなんて、そんなことがあってたまるか」

と、パイ軍曹は、ピート一等兵を叱りつけた。そのとき、速夫がいった。

「そうだ。われわれの感じとしては、まだまだ深海の底にいるような気がする。しかし、この深度計は、たしかにこわれていないのだから、この上は、深度計が示していることを信ずるのが正しい。