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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

船橋に立って、外套の襟をたて、波のしぶきを見つめている船長と一等運転士の顔は、生きた色とてなかった。

「船長。これはもうだめですね」

「うん、だめなことはわかっている」

「ばかばかしいではありませんか。リント少将には、なんとかあとでいいわけをすることにして、せめて吹雪のやむまで、船を流すことにしては」

「もう、それは、おそい。リント少将は、大きな賭をしているのだ。大アメリカ連邦のために、この大きな賭をしているのだ。われわれもまた、この大きな賭に加わらなければならない。なぜならば……」

「あっ、船長、氷山が……」

「うん、しまった。――無電で、リント少将へ……」

船長の、悲痛なさけびがおわるか終らないうちに、船の舳に、とつぜん山のような氷のかたまりがゆらぐのが見えた。とたんに、大音響とともに、船上にいた乗組員たちは、いっせいに、ばたばたとたおれた。

警笛が、はげしく鳴った。

アーク号は、めりめりと音をたてて氷山のうえにのしあげた。

機関がさけたのであろうか、舷側から、白いスチームが、もうもうとふきだした。

「全員、甲板へ!」

吹雪する甲板に、乗組員はとびだした。