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じごくかいどう
地獄街道
海野 十三
「モダン日本」1933(昭和8)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,814 字 · 22 页
その結果夜中になって、その男を桜ン坊の寝床から脱け出させる。現とも幻ともなく彼は服を着て、家の外にとび出すのだ。一寸夢遊病者のようになる」
「まさか――」
「事実なんだから仕方がない。その擬似夢遊病者はフラフラとさまよい出でて、必ず例のユダヤ横丁に迷いこむ」
「それは偶然だろう」
「イヤ地形がユダヤ横丁へ引張りこむのだ。あとは簡単だ。あの夢遊病者のような歩き方が、団員の認識手段なのだ。夢遊病者がやって来た。それ団員だといって、その男を本部へ引張りこむ。その上で尋ねてみると、どうも様子がおかしい。遂に正体が露見するが、結社の本部を知られてはもう生かして置けぬということになる。やっつけられて気を失ったところを、黒塀の向うへ投げこみあの吊り籠に載せて、ギリギリとビール会社の高い窓へ送る。あとは器械に自然に捲きこまれて息の根も止れば、屍体も箱詰めになって、ビールと一緒に積み出される――」
「そんな歯車仕掛けのようにうまくゆくものか。行けば奇蹟だ」
「奇蹟が三人の犠牲者を作るものか。ゆくかゆかないか。第四番目の犠牲者はもう出発を始めているのだ」
「なに?」
「考えても見給え。