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じごくかいどう

地獄街道

海野 十三

「モダン日本」1933(昭和8)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,814 字 · 22 页

青空文庫

オヤオヤと思って、声のする方に近づいてゆくと一つの古ぼけた建物があった。それをひょいと曲ると、イキナリ眼前に展げられた異常な風景!

夥しい荷物の山。まったく夥しい荷物の山だった。山とは恐らくこれほど物が積みあげられているのでなければ、山と名付けられまい。――さすがは大貨物駅として知られるS駅の構内だった。

辻永は大きな木箱の山の側に立って、鼻を打ちつけんばかりに眼をすり寄せている。早くも彼氏、何物かを掴んだ様子だ。小説家と違って本当の探偵だけに、いつでも掴むのがうまい。あまりうまいので、私はときどき自分が小説家たることを忘れて彼の手腕に嫉妬を感ずるほどだ。

「これだこれだ山野君」と彼は私の名を思わず大きく叫んだ。「例の箱がいつ何処で作られたんだかすっかり判っちまったよ。第一回の箱は七月四日の製造だ。第二回目のは七月十八日の製造だ。そして第三回目のは今から一週間前、実に八月八日の製造だということが判ったよ」

「そりゃどうして?」私はすっかり駭いた。

「ナニこれは殆んど努力で判ったのさ。今日は箱の山がどんな形に、どんな数量を積み重ねてあるかを知りたかったのだ。