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ちじくさくせん

地軸作戦

海野 十三

――金博士シリーズ・9――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,005 字 · 18 页

青空文庫

百トン戦車かと思うような巨大な鋼鉄の怪車輌が数百台、博士の握るハンドル一つによって、電波操縦でギリギリと前進する。その怪車輌が崖にぶつかると、爆音をあげて崖はたちまち消え失せる。その代り一本の茶褐色の煙がすーっと立ちのぼり、轟々たる音をたてて天空はるかに舞いあがっていく。その有様は、竜巻の如くであった。

これは人工竜巻とも名付くべきものである。博士は、この人工竜巻を何のために起しているか。それをいう前に、この人工竜巻がどんなものであるかということを説明する方が、順序であろう。

人工竜巻は、アルプス山を削りとった岩石が天空高く舞い上っていく姿である。山を削るには、かの怪車輌がある。この怪車輌は、能率三千パーセントと称せられた原子変換エネルギーを利用した起重動力発生機であって、さてこそ連山を削り、岩石を天空にとばす。しかもその人工竜巻には予め計算によって行方が定められてある。その行方は月世界である。地球から四千六百八十粁距ったところに、地球と月との重心があるが、この重心を稍通りすぎるに足るくらいのエネルギーを人工竜巻に与えることにより、あとは自然にアルプス崩れの岩石が月世界に到達する。