轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

「モダン日本」1939(昭和14)年7月~8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,485 字 · 93 页

青空文庫

運河をへだてた、やや近い森のうしろから、サーチライトの蒼白い光芒が、三条ばかり横ざまに走り出し、雨雲の腹を撫でながら、中空で交叉したり、離れたりしている。

フォードの古いタキシーが横づけになった。荷担夫は、鞄をタキシーの中へ投げ入れて、手荒に扉をしめると、

「ホテル・ガリッツィヤ」

と、叫んだ。運転手の隣りに鉄兜をかぶった兵士が一人、銃剣のついた銃を股の間にはさんで、石像のように坐っていた。自動車は、停車場の前のひろい通りをのろのろと走り出した。道路の向うから、遠雷の轟くような音が近づいてくる。自動車は急停車すると、あわてふためいたように前灯を消した。

竜太郎の自動車のそばを、小山のようなタンクが、耳も痴いるような地響きをたてながら、まるで、天からでも繰り出してくるように、いくつも、いくつも、通りすぎて行った。――タンクと装甲自動車の長い列。それを、騎兵の一隊が追い抜いて行った。ホテル・ガリッツィヤは、維納風の安手な金箔をいたるところにくっつけた古い建物だった。

廿日鼠のような顔をした支配人らしいのへ、竜太郎は、低い声で、たずねた。

「この国で、いったい、何が始まってるんです」