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だんのうらのおにび
壇ノ浦の鬼火
下村 千秋
「赤い鳥」赤い鳥社、1927(昭和2)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,170 字 · 15 页
そのようすから察すると、そのひとは、いかめしいよろいかぶとを身につけた、戦場の武士のように思われました。
やがて、その武士はたちどまりました。そこは、大きなりっぱなご門の前のように思われました。しかし、このあたりには、それほどに大きな、りっぱなご門は、あみだ寺の山門よりほかにはないはずだが、と法師はひとり思いました。
「開門。」
武士は、こう高らかにいいました。と、中でかんぬきをはずす音がして、大きなとびらはしずかに開かれました。武士は法師の手をとって、中へはいりました。しっとりとした庭を、しばらくいくと、またおごそかな、りっぱな大げんかんと思われる前に、たちどまりました。武士はそこで、また高らかにいいました。
「ただいま、びわ法師、法一をつれてまいりました。」
大げんかんのうちでは、ふすまをあける音、大戸をあける音がして、やがて、やさしい女たちの話し声が聞えてきました。その声で察すると、その女たちは、この高貴なおやしきの、召使いであることがわかりました。その召使いの女のひとりが、法師の手をやわらかにとると、こちらへと、大げんかんのうちへ案内しました。