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へんじんでん

変人伝

佐々木 邦

「日の出」新潮社、1934(昭和9)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,178 字 · 21 页

青空文庫

とやり返しました。殆んど同時に、ピシャリと横っ面を幸太郎君の手の平が見舞いました。教官室ですから、皆寄って群って大騒ぎです」

「見て来たようですね」

「そこは画家の想像力です。幸太郎君は他の同僚とも度々やっていたから具合が悪くなって、屑く辞表を出したんです」

「丁度好く転任の口があったんですね」

「いや、○○先生が間に入って、半年ばかり待って貰ったんです。先生のお蔭ですよ」

「○○先生に愛想を尽かされはしまいかと思って、僕はそれを始終案じています」

「○○先生も実は少し呆れているんでしょう。昆侖草の話を御存じですか?」

「いや」

「学生時代に先生につれられて天城山へ採集に行ったんです。先生は指導をしながら、平賀源内のことを話したそうです。源内は博識だから知らないものがなかった。あっても当意即妙に直ぐ名をつけてしまうと先生が言った後、幸太郎君は一つの草を見つけて、先生に名を訊きました。先生は昆侖草と答えました。『先生、源内流じゃないですか?』と幸太郎君がやったんです。例の調子でしょう。冗談とは聞えません。先生はすっかり御機嫌を悪くしてしまったそうです」

と島崎さんはナカ/\詳しい。