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たしんきょう
多神教
泉 鏡花
「文藝春秋」1927(昭和2)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,787 字 · 36 页
――不断私を何と言ってお呼びになります。
神職 はッ、白寮権現、媛神と申し上げ奉る。
媛神 その通り。
神職 そ、その媛神におかせられては、直ぐなること、正しきこと、明かに清らけきことをこそお司り遊ばさるれ、恁る、邪に汚れたる……
媛神 やみの夜は、月が邪だというのかい。村里に、形のありなしとも、悩み煩らいのある時は、私を悪いと言うのかい。
神職 さ、さ、それゆえにこそ、祈り奉るものは、身を払い、心を払い、払い清めましての上に、正しき理、夜の道さえ明かなるよう、風も、病も、悪きをば払わせたまえと、御神の御前に祈り奉る。
媛神 それは御勝手、私も勝手、そんな事は知りません。
神職 これは、はや、恐れながら、御声、み言葉とも覚えませぬ。不肖榛貞臣、徒らに身すぎ、口すぎ、世の活計に、神職は相勤めませぬ。刻苦勉励、学問をも仕り、新しき神道を相学び、精進潔斎、朝夕の供物に、魂の切火打って、御前にかしずき奉る……
媛神 私は些とも頼みはしません。こころざしは受けますが、三宝にのったものは、あとで、食べるのは、あなた方ではありませんか。
神職 えっ、えっ、それは決して正しき神のお言葉ではない。