轻松读懂日语经典作品
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 213 页
これでも初めに比べればよほど私も謙遜になっているのを感じるが、妻がこの村に対して感謝しきっている心とは、まだよほど私の方は好ましからざるものがあるようだ。
五月二十四日の空襲のときは群長として役目をすませ、私でも町会から十円の賞を貰って東京を立った。立つときも留守居のHとIとに依頼し、炭焼を研究して来たいと思うがすぐ帰ると云って出て来たので、私には疎開者だと思う気持ちはいまだにない。それが悪く邪魔をしている。倦くまで研究心を失いたくはないと思う虚剛と、人間らしからざる観察者の気持ちを伏せ折りたくもあって、個人の中のこの政治は甚だ調和を失って醜い。私はまだ文学に勝ってはいないのだ。先ず第一にこれに打ち勝つことが肝要かと思う。
十月――日
雨がよく降るようになった。昨日も今日も大雨だ。ラヂオでは全国的な雨で汽車も停った報道が各線に見られるようだ。実のない稲、腐る稲、流される稲、砂をかむってとれぬ稲――米は不作どころではないかもしれぬという予想が、どこの農家にも拡がった。これでは、ここでとれた僅かな米も、どのような運命にあわされるか知れたものではないという恐怖も一緒になった。