轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よるのくつ

夜の靴

横光 利一

――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 213 页

青空文庫

栗のいがはまだ柔かい。雨に濡れた薪の燃え悪く鍋の煮えの遅い日だ。野路の中の立話にも自家の田の出来の悪さを吹聴し合う嘘も混っていて、正直さは天候の加減で少しずつ違ってくるようだ。今日などこの雨だと架に掛った稲が腐ってくるおそれもある。照るかと思うと驟雨、激しく変る光と影。一分ごとに照ったり曇ったりで、蝿だけおびただしく群れている。

しかし、ここに村民に嘘をつかしめるもので、天候にことよせしめる別のものがひそんでいる。元来からそんなに嘘をつかぬ人人が、嘘の表情をたたえるのだから、至って下手で、同情せざるを得ない原因というのは、いつもはもうある筈の米の供出量の割当の決定が、今年はいまだにないことだ。その無気味な沈黙に疑いの影が濃厚になり、防禦のまずい身ぶりがこのようになっている。とにかく、この村はどの村よりも真正直に第一番に立派な完納をして来たため、他の村村よりも米が無くなり大騒動をしている村だ。今年こそは何としても嘘をつかなければ、と思うのこそ当然な感情というべきだ。実際、私の見たところでは、この村はよほど稀な良い村で、善良という点では第一等の村にちがいないと思われるが、それでも幾らかの濁りのあるのを思うと、他の村落のことはおよそ想像してそんなに誤りはないだろう。