轻松读懂日语经典作品
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
「大阪日日新聞」1947(昭和22)年5月24日~8月9日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,871 字 · 134 页
ガマンの針助……。
この奇妙な名前の男について述べる前に、しかし、作者は、その時、
「やア、兄貴!」
と、鼻声で言いながら、ハナヤへはいって来た十七、八の、鼻の頭の真赤な男の方へ、視線を移さねばならない。
豹吉を兄貴と呼んだ所を見れば、同じ掏摸仲間であろう。名前は亀吉……。
首が短かく、肩がずんぐりと張り、色が黒い。亀吉というのが本名なら、もう綽名をつける必要はない。
豹吉の傍へ寄って来ると、
「兄貴、えらいこっちゃ。刑事の手が廻った!」
亀吉は血相を変えていきなり言った。
お加代の顔には瞬間さっと不安な翳が走ったが、豹吉は顔の筋肉一つ動かさず、ぼそんとした浮かぬ表情を、重く沈ませていた。
「……刑事の手が廻った」
という言葉の効果を期待していた亀吉は、簡単にすかされて、ひょいと首をひっ込ませると、
「けッ、けッ、けッ……。一杯担ぎ損いや。へ、へ、へ……。兄貴をびっくりさせるのはむつかしいわい。う、ふ、ふ……。しかし兄貴はなんでこない何時もびっくりせえへんネやろな。ヒ、ヒ、ヒ……」
実にさまざまな、卑屈な笑いを笑った。
「当りきや。そうあっさりと、びっくりしてたまるか。