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「よあけまえ」についてのししん

「夜明け前」についての私信

宮本 百合子

池田寿夫宛私信の一部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,543 字 · 6 页

青空文庫

ように感じる神経衰弱症。そういう心理的な点は、私がなかで文章というものの諸問題について考え、藤村の文章に非常に特徴を発見し、それを浅くではあるが考えて見たときからの興味の中心です。

藤村が「あらゆる存在と必然とを肯定するに到った」その謎の説明として、貴方が藤村の社会的・階級的制約をあげ、小市民的インテリゲンツィアとしての観照的態度をあげてあるのは誤った解釈ではないと思いますが、彼が自分の長男をわざわざ木曾にかえして小さいながら自作農として暮させているところ、人生的な意味で「百姓の道」に対する藤村のつよい肯定的執着、その地味な根づよい営みということに幸福と「中庸の道」即ち時代的変化の血、人間のよってもって立つところ(経済的にも)をおいている点、何か都会の小市民的インテリゲンツィアというには云い切れぬ粘り、あくどさ、くい下りがある。藤村の右のものが彼として今日あらしめ、「夜明け前」をあらしめており、それは都会的なものとは異った粘着力、土の強情さ、外見従順でインギンな執拗さであると思います。藤村においてはこの点がひどく複雑である。

例えば「新片町より」