轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よぎしゃ
夜汽車
牧 逸馬
「探偵文藝」1925(大正14)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,725 字 · 6 页
明日の朝七時三十二分には紐育へ着く――。
何の位い眠ったか解らない。ふと眼が覚めると、汽車は平原の寒駅に止まって、虫の声がしていた。何時の間にか、田舎ふうの紳士がフリント君の前に座って、旅行案内を見ていた。
「ここは何処です」とフリント君が訊いた。
「ラカワナです。どちらまで?」
「ええ、紐育へ帰るんです」
「私も紐育までです、お供させて戴きましょう。何うもこの夜汽車の一人旅というやつは――」
紳士は葉巻を取出した「一つ如何です?」
十七八の田舎娘が慌て這入って来て、向うの席に着くと、汽車は動出した。
「そうですか、葉巻はやらないですか、若し御迷惑でなかったら、一つ吸わせて戴きます。あ、お嬢さん」と彼は娘に声を掛けた、「煙草のにおいがお嫌いじゃないでしょうね」
「あの、何卒お構いなく」娘は赫くなって下を向いた。その生ぶな優しさがフリント君の心を捕えた。彼女の林檎のような頬、小鳥のような眼、陽に焼けた手、枯草の香りのするであろう頭髪、そこには紐育の女なぞに見られない線の細い愛らしさがあると、フリント君は思った。ラカワナに玉突場を持っているという紳士は問わず語りに、昔この辺は黍強酒の醸造で有名だったことや、それが禁酒になってからは下着や女の靴下なぞの製造が盛んになって、自分が今紐育へ行くのも、近く設立される工場の用だ、